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タリベについて①

明日7月6日に1か月続いたラマダンがようやく終了します。

僕はイスラム教徒でないので、ラマダンをやっていたわけではありませんが、近くの食堂の殆ど全てが日中は閉まってしまい、買ったものを外で食べたり飲んだりするのも周りの目を気にしてしまうようなこの期間は個人的にはとても暮らしづらいものでした…。

ですが、ラマダンの終わる明日はコリテと呼ばれるお祭りがあり街が大いに賑わうようなので楽しみです。

 

さて今日はタリベについてです。

タリベとは何だという方も多いと思いますので、まずは説明を少々(僕もまだ勉強中なので、間違いなどに気付かれた場合はご指摘いただけると幸いです)。

 

セネガルラマダンを多くの人が行っていることからも分かるように国民の大半がイスラム教徒の国です。セネガルイスラム教にはムリッド教団やティジャーニー教団などいくつかの宗派があり、それぞれの宗派にはマラブーと呼ばれる宗教指導者が存在しています。タリベとはそのマラブーに仕える弟子のような存在を指します。

タリベとなった子どもたちは親元を離れ、マラブーの下で修業を積むことになります。本来この修行はコーランの学習などを軸に行われるはずなのですが、腐敗した一部のマラブーはタリベにストリートチルドレンさながら路上でお金を集めさせているのです。

セネガルに来ると実に多くのこうしたタリベからお金をせがまれるという経験をすることになります。

 

こうしたマラブーの悪事を取り締まる法律が2005年に出来たのですが、宗教的なロビー活動の影響もあり、政府にとってこの法律を実行に移すのは難題であったようです。

しかし、Le Témoinという新聞社が7月4日に発行した新聞では、一面に大きく「119人のタリベの救出」という見出しが躍っており、内容を見てみると、ダカール内各地でいよいよ取り締まりに踏み切り、警察によって多くのタリベが保護されたとのことでした。

 

この特集は出来事そのものの概要、タリベへのインタビュー、政府関係者へのインタビューと3つの記事で構成されており、今回はこの一連の特集を訳してみることにします。Le Témoin紙はオンラインサイトをやっていないようで元記事のリンクを張ることは出来ませんでした...。

まずはタリベへのインタビューからです。タリベの年齢について正確な言及がなかったため、街で見かけることの多い小学校入学前後の少年を想定して訳しました。若干子どもっぽ過ぎる口調になっているかもしれませんが...。

 

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≪僕らの両親は僕らにダカールで物乞いをさせるために学校をやめさせたんだ≫

 

 物乞いの状況とは子どもに対する迫害である。首都の路上での物乞いを禁止する政策決定が施行開始されてから、Le Témoin紙はダカールの数地区を周った。我々のレポーターは2人のコルダ州(訳者注:ガンビアを挟んだセネガル南部の州)出身の子どもタリベに出会い、彼らの悲しく、そして胸を打つ話を取材した。ルート・デュ・フロント・ドゥ・テールにある菓子店の横に並んで座り、2人の子どもは来客の動きをいささかも見ていなかった。午前0時を少々過ぎていた。彼らは我々に気付くやいなや逃げようとした。しかし、我々が警察でないことを丁寧に説明すると安心したようであった。密着取材だ。

 

Le Témoin紙(以下T) : こんな真夜中にここで何をしているの?
サンバ・ジャオ君(年長の子:以下サンバ) : 3日間ここでコリテの衣装を買うためのお金を集めてるんだ。

 

T : その3日間の間、毎晩指導者のところへ帰ったの?
アマドゥ・バルデ君(年下の子:以下アマドゥ) : (突然反応を示して)いいえ。僕らのマラブーは3日間かけてお金を集めてくるように言ったよ。みんな自分自身のブーブー(訳者注:ゆったりとした丈の長い民族衣装)を買わなきゃいけないんだ。パーセル・アセニー(訳者注:地区の名前。恐らくそこに寝床がある)へは帰らずに夜は外で過ごしてる。
サンバ : 2013年からこうしているんだ。いつもこんな感じだよ。時々十分なお金を見つけられないこともある。正直に言うと、ほとんど集められないんだ。だって今は、みんながくれるのは砂糖かお米ばかりだからね。お金を貰えるのはすごく珍しいことで、貰ったとしても本当に少しなんだ。だから僕らのマラブーが決めた短い期間のなかで十分なお金を集めるのは難しいんだ。

 

T : いくら彼に渡さなきゃならないの?
サンバ : 僕らのマラブーは正確な金額を僕らに指示しているわけではないんだ。だから持ってるだけ持って行くんだよ。一日にどれくらい集められたかによるね。たまには本当に少しの金額しか持って帰れないこともあるんだ(と言って手元の100フラン(訳者注:約20円)コイン2枚を見せる)。靴も履いていないし。靴が嫌いだからじゃなくて、靴を買うだけのお金がないんだ。まあ裸足でも気にしないけどね。
アマドゥ : 僕は、もし靴が買えるなら履きたいなぁ。裸足は嫌いだよ。

 

T : お父さんやお母さんがどうしてるかは知ってる?
サンバ・アマドゥ : めったに聞かない。僕らのマラブーはたまに「お父さんお母さんが君たちを救ってくださるよ」と言うだけなんだ。

 

T : 寂しくない?
サンバ : とっても!(少し笑って) でも、ずっと会えないのに慣れちゃったから、たいしたことじゃないよ。

 

T : 君たち歳はいくつ?
サンバ : 年齢は知らないんだ。
アマドゥ : 僕も知らない。(編集部注 : 恐怖からか言葉数が少なかった。インタビューの間中ずっと、彼は右左をキョロキョロと見ていた)

 

T : コルダ州の何という村から来たの?
サンバ : アマドゥと同じ村に住んでいたんだ。サレ・ムウサ・ノウルーという村(編集部注 : ガンビアへ続く一帯がある街の入り口から1キロ程の村)だよ。僕らの家は隣同士だったんだ。

 

T : フランス語の学校に行くことはなかったの?
サンバ : いや、コーランを学ぶために両親が僕をダカールに連れてくるまで、僕はフランス語の学校に通っていたんだ。でも来てみたら、コーランを学ぶよりも道で過ごす時間の方が長いけどね。

 

T : 夜は一つの部屋に何人で寝るの?
サンバ : 僕らの部屋には26人いるよ。

 

T : 毎朝、物乞いに行く前に体を洗う?
アマドゥ : いいえ(悲しそうながら無邪気な雰囲気で)。起きたらすぐに道に出て、何か食べるものを探すんだよ。
サンバ : アマドゥの言うとおりだ。体を洗うことはめったにないよ。でもたいしたことじゃないよ。お金を集めることで頭がいっぱいだし、それに、洗わなくても死ぬわけじゃないからね。神様が僕らを守ってくれるさ。

 

T : 政府が君たちの物乞い活動をやめさせようというキャンペーンを始めたのは知ってる?
サンバ : うん。何人かの仲間は捕まったからね。だから建物の後ろに隠れたんだよ。君たちがこっちに向かって近づいてくるのに気付いた時、アマドゥは怖がってたんだ。今はダカールにいるよりコルダの両親のもとに帰りたい。涼しい季節はキツいんだ。